男性更年期障害
(加齢性性線機能低下症)
(LOH症候群)
気力の衰えや集中力の低下、抑うつなど、様々な症状があります。
更年とは「生まれ変わること」。
女性の更年期障害は、女性全員に起きるホルモンの急速な低下によって引き起こされる様々な症状で、遺伝子にコードされたもので病気ではありません。
しかし、男性の場合、男性ホルモンであるテストステロンは加齢とともに徐々に低下はしますが急速な低下は通常は起きません。
何らかの原因でテストステロンが急速に下がった場合、男性にも女性と同様の更年期障害が認められた場合、これは病気となります。
このような症状はご相談ください
- 常に調子が良くない
- 汗が多い
- よく眠くなる
- 不安感がある
- 筋力が低下した
- 憂うつな気持ちになる
- 髭の伸びが遅くなった
- 性的能力が衰えている
LOH症候群
LOH症候群は、late onset hypogonadismの略です。
LOH症候群は、うつ、性機能低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、心血管疾患、内臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化(糖尿病)、HDL(善玉コレステロール)の低下、LDL(悪玉コレステロール)の上昇に寄与し、メタボリック症候群のリスクファクターになります。
また心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患のリスクを高めます。LOH症候群には大うつ病の患者が含まれることが多いとされています。テストステロンが低いと、活力と性機能が損なわれ、QOL(生活の質)に大きな影響を与えることとなります。
つまり、テストステロンを正常値に保つことは、抗老化(アンチエイジング)につながり、若く活力に満ちた若い頃に近い状態に保つことにつながります。
年齢と遊離テストステロンとの相関
LOH症候群の診断
症状の評価としては、Aging Male Symptom (AMS) scoreが国際的には現在汎用されています。
AMS scoreは精神・心理、身体、性機能についての17項目について回答して頂き、点数化して判断します。
27点以上は軽度異常、37点以上は中等度以上の異常が示唆されます。
血液検査では、血中のテストステロン値を測定します。300-320ng/mlを治療介入の基準値とし、さらに遊離テストステロン値が8.5pg/ml未満であれば男性ホルモンが明らかに低いと判断し、AMS scoreの値と総合的に判断して治療を行います。
血液検査では、その他のホルモンの値、PSA値、ビタミンD、亜鉛の値なども測定します。
症状 | なし | 軽い | 中等度 | 重い | 非常に重い |
---|---|---|---|---|---|
点数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
総合的に調子が思わしくない(健康状態、本人自身の感じ方) | |||||
関節や筋肉の痛み(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み) | |||||
ひどい発汗(思いがけず突然汗が出る。緊張や運動と関係なくほてる | |||||
睡眠の悩み(寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、寝起きが早く疲れがとれない、浅い睡眠、眠れない) | |||||
よく眠くなる、しばしば疲れを感じる | |||||
いらいらする(当り散らす、些細なことにすぐ腹を立てる、不機嫌になる) | |||||
神経質になった(緊張しやすい、精神的に落ち着かない、じっとしていられない) | |||||
不安感(パニック状態になる) | |||||
からだの疲労や行動力の減退(全般的な行動力の低下、活動の減少、余暇活動に興味がない、達成感がない、自分をせかさないと何もしない) | |||||
筋力の低下 | |||||
憂うつな気分(落ち込み、悲しみ、涙もろい、意欲がわかない、気分のむら、無用感) | |||||
”絶頂期は過ぎた”と感じる | |||||
力尽きた、どん底にいると感じる | |||||
ひげの伸びが遅くなった | |||||
性的能力の衰え | |||||
早期勃起(朝立ち)の回数の減少 | |||||
性欲の低下(セックスが楽しくない、性交の欲求が起こらない) |
LOH症候群の治療
テストステロンの補充療法は日本以外の国では割と広く行われています。
男性が年齢を重ねても健康で若々しくいるために、アンチエイジングのために重要な一つの手段と言えます。
テストステロン値が低いと判断された場合、まずは生活習慣の改善を行い、同時に漢方、必要応じて亜鉛やビタミンDの補充などを行います。
それでも効果がなく、症状の重い方にはホルモン補充療法(TRT)を行います。TRTの方法としては、経口剤、注射剤、皮膚吸収剤がありますが、TRTにより、筋肉量、筋力、骨密度、インスリン感受性、気分性欲、健康感の改善が認められます。また勃起不全の方に対する治療においてTRT はPDE5阻害薬の効果を増強することが報告されています。
TRTにより前立腺がんが生じることはほぼ完全に否定されつつあります。これまでの検討では治療前に前立腺がんがない事を必ずスクリーニングして、定期的にPSAを測定することで前立腺がんの合併を見逃さない努力がなされています。そのような前提の上では、テストステロン補充療法は全く安全に施行可能と考えられています。
男性更年期(LOH症候群)について相談したい方、治療について相談、疑問などある方はお気軽にご来院ください。
当院では、テストステロンの経皮吸収剤による治療も行っております。
一部自費診療になりますので、金額などはご相談ください。